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カラー・コードって何だ?
ユビキタス社会の新しい基盤

本書について

 2009年1月のことであったが、筆者が何気なく見ていたテレビにくぎ付けになった。それはテレビ東京の「ガイアの夜明け」というビジネス番組である。日本のあるベンチャー企業が「カメレオンコード」という名前の新しいタイプの自動認識技術を開発して実用化を進めており、ベンチャーキャピタルが投資をするか検討しているという内容であった。
 この認識技術は、単にバーコードをカラーにしただけというものではなく、赤、青、黄などのブロックを2次元に配列しており、2次元カラーコードとでも呼ぶべきものである。
 この技術は、まだそれほど広く普及しているわけではないが、ICタグの課題を解決する機能を備えており、大いに期待ができる技術である。ICタグと同様に複数のタグを同時に処理できるし、読み取り速度でICタグを上回るものも出てきている。また、タグの価格はバーコード同様に限りなく無料に近く、故障もない。特殊な読取装置は必要なく、市販のビデオカメラやデジカメでかまわない。

 テレビにくぎづけになったのは、このカラー・コードがICタグの課題を克服して、将来ユビキタス社会のインフラの1つとなるかもしれないと感じたからである。ICタグの技術を否定するものではないが、カラー・コードには自動認識技術の新しい応用分野が開ける可能性を感じる。また、この技術を開発したのが日本のベンチャー企業であるというのもうれしい話である。これまで、コンピュータにしてもインターネットにしても、情報通信技術はほとんどがアメリカからやってきた技術である。日本発の技術が世界のユビキタス社会の基盤となるかもしれないというのは、それだけでもわくわくすることである。

 本書は、ICタグに代わる新しい自動認識技術である「カラー・コード」の内容を紹介し、その普及に資することを目的としている。

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