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クラウド量子計算入門
IBMの量子シミュレーションと量子コンピュータ

2016年10月10日 初版第1刷発行

本書について

 本書では、量子コンピュータに必要な量子ビットと量子論理ゲートの基礎知識を説明し、これらの量子ビットと量子論理ゲートを使って公開されたIBMの量子コンピュータでどのようにクラウド量子計算が可能かを解説した。IBMの量子コンピュータは、5量子ビット上に、量子論理ゲートのアイコンをドラッグ&ドロップで配置するだけで量子計算ができるようにしたもので、量子プログラムの操作自体は子供でも可能である。これはあたかも音楽の5線譜に音符を配置すると音楽が流れていくようなイメージで、量子コンピュータが時間とともに計算されていく。ここで、クラウド量子計算では2つのトポロジー(接続形態)があり、理想的な量子シミュレータで計算する場合と実際の量子プロセッサで計算する場合とを選択できる。理想的な量子シミュレータは、雑音がなく理論通りに動き、従来のテキスト通りに即座に動作する。しかし、実際の量子プロセッサで計算する場合、世界中で利用されているために混んでいれば、何人待っているかが表示され、実際に計算実行されれば、待ち状態にもよるが数分程度で計算が終了したことがメール通知される。同じような量子アルゴリズムで実際に過去に計算した実験データがある場合は、それを表示させれば、待ち時間は発生しない。
 本書では、IBMの量子シミュレータを使いながら、基本的な量子論理ゲートの使い方からいろいろな量子アルゴリズムに基づく量子回路と量子プログラムについて説明した。IBMの量子シミュレータでは、このように量子ビットと量子論理ゲートが配置されて量子計算され、最後に量子ビットを観測して量子シミュレーションの結果が出ることになる。しかし、量子ビットの状態がどのように変換されているか数式は表示されないために、十分に量子論理ゲートの入出力を把握しておく必要がある。そこで、IBMの量子シミュレーションの量子論理ゲートと量子ビットのベクトル計算式とを対比しながら解説したので、どのように量子計算されたかを、量子ビットのベクトル計算式でも確かめられる。そのために、量子ビットのベクトル計算式からIBMの量子シミュレーションの量子論理ゲートにいかに反映させるかも容易となるであろう。

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