ISBN: 978-4-87783-018-2 C3004
著者 CADデータ長期保存研究会
判型 B5判，350頁，CD-ROM付属
本体価格 7,000円
CADは20年近い歴史をもち、この間に作られたCADデータは、日本国内だけでも 数億件に達している。現在も毎年、5,000万件のオーダーでCADデータが増え続 けており、そのうちの約1,000万件が長期保存の対象と考えられている。航空 機産業の場合、図面や部品表、工程仕様書などの製品データは、製品のライフ サイクルに渡って維持することが求められている。このことは、製品データが 電子的に作成・保管される場合においても同様である。このため、従来は図面 をマイクロフィルムにて永久保存していたが、図面からCADデータに主体が変 わるにつれ、現在では、CADデータの長期保存の問題がクローズアップされて きた。
これらの背景として製造業では、データ基準によるモノ作りに向けて、“図面 正”から徐々に“データ正”になりつつあることがあげられる。“図面正”の 場合には、紙またはマイクロフィルムの図面を管理するという保管方式が確立 している。これに対して、CADによる“データ正”の場合、その保管方式につ いては手探りの状態にあり、ハード・OS・ソフトからなるCADシステムと本来 保管すべきCADデータとをセットで保存しているに過ぎない。これは、ある意 味では企業の重要な保管対象物について全くメーカー頼みの放任状態である。 CADシステムは、これまでの経験から、10年も経てばバージョンアップにより 大幅な変更がなされているであろう。また、CADシステムそのものの存続にも 重大な問題がある。
近年急速に普及している3次元CADの場合、紙のような代替保管手段がないので、 とくにCADデータの長期保存方式の確立を必要としている。
本書は、二次元および三次元のCADデータの長期保存を行なうために、その長 期保存形式を規定する目的で作成された。
CADデータの長期保存を行なうためには、CADと切り離した安定的な形式が必要 になる。ISO 10303（STEP規格と呼ぶ）の出現、およびそれを机上と実証実験 で評価したことにより、初めてCADデータの長期保存に適用できる“器”が出 現したと言える。このSTEP規格のうち、AP203とAP202、およびPart21をベース に、二次元や三次元のCADデータの長期保存に適した規約を作成する。
まえがき はじめに 1. 背景 2. 目的 3. CADデータ長期保存規約の基本方針 4. CADデータ長期保存規約とISO規格との関係 5. CADデータ長期保存規約の構成 6. 形状モデル 7. STEPファイル間の関係 8. CADデータ長期保存規約の適用範囲外 9. STEP規格の理解のプロセスと「解説編」 10. STEP/AP203とSTEP/AP202とは業務で使える 規約編 1. 概要 2. STEPファイル規約 3. 形状モデル規約 4. 製品モデル規約 5. 製図モデル規約 解説編 1. 概要 1.1 CADデータ長期保存規約の概要 1.2 STEP規格の概要 1.3 解説編の表記方法 2. STEPファイル 2.1 STEPファイルの字句成分 2.2 STEPファイルの構造 2.3 STEPファイルに関する制約 3. 形状モデル 3.1 適合性クラス 3.2 モデルのインスタンス表現 3.3 位相 3.4 位相のインスタンス表現 3.5 点・曲線・曲面 3.6 基本要素のインスタンス表現 3.7 曲線のインスタンス表現 3.8 曲面のインスタンス表現 3.9 表現コンテキストと単位系 3.10 形状モデルの配置 4. 製品モデル 4.1 製品 4.2 コンテキスト 4.3 製品および図面がもつ設計管理項目 4.4 承認 4.5 人と組織 4.6 日付 4.7 ドキュメント 4.8 適合性クラスの混在 4.9 組立 4.10 設計管理項目（参考） 5. 製図モデル 5.1 製品と図面 5.2 投影 5.3 幾何要素の表示 5.4 表記要素の表示 5.5 表記要素の形を定義する要素 5.6 製図表記 5.7 製図表記の関係付け 5.8 見え方 5.9 グルーピング 付録 1. インスタンス図 2. 添付CD-ROMについて